
カエデさん、最近ニュースで“事業承継税制の特例が2027年で終わるかもしれない”って見たんですけど、
あれって本当なんでしょうか?
うちは息子に会社を継がせるつもりで、顧問税理士からも“株の承継は特例のうちにやった方がいい”と聞いてます。
ただ、制度がどう変わるのか、今すぐ動くべきなのか判断がつかなくて…。
もし本当に特例が終わるなら、どんな準備をしておけばいいのか教えてもらえますか?
うちみたいな中小企業でも、影響は大きいんでしょうか?

いい質問ですね。私も最近の議論を追っていて、あなたのお聞きになった “2027年で特例が終わるかもしれない” という情報には、かなり根拠があります。ただし、「確定」と言い切る段階にまでは至っておらず、今後の国会・税制改正論議で変わる可能性も残ります。以下、現在の状況とリスク、そして“うちの会社”として準備すべきことを整理しておきます。
1.現状:特例措置の“期限”と見直し内容
まず、今わかっている制度上の期限・変更点を整理します。
| 制度 | 適用終了(期限) | 特例承継計画の提出期限 | 直近の見直し・緩和 |
|---|---|---|---|
| 法人版 事業承継税制(特例措置) | 2027年12月31日(令和9年12月末) (山田パートナーズ) | 2026年3月31日まで (Dir) | 令和7年度(=2025年)税制改正で後継者の「3年役員要件」が緩和され、贈与の直前に役員就任していればよい、という要件になる見込み (山田パートナーズ) |
| 個人版 事業承継税制 | 2028年12月31日(令和10年12月末) (山田パートナーズ) | 同じく 2026年3月31日(個人事業承継計画の提出期限) (山田パートナーズ) | 同様に緩和が検討されているが、法人版と比べて議論の余地あり (山田パートナーズ) |
ポイントは次のとおりです:
- この「特例措置」は 時限措置(期限付きの制度)として導入されていて、税制改正大綱において “延長しない方針” が明記されている旨の記載があります。 (山田パートナーズ)
- つまり、2027年末をもってこの特例措置は打ち切られる可能性が高い、というのが現時点での通説的な見方です。 (hibiki-firm.com)
- ただし、税制は毎年変わる可能性がありますから、“絶対に終わる” とは言い切れません。改正案で延長が出てくる可能性もゼロではありません。
また、最近の改正で「後継者が役員になっていた期間要件(3年以上)」という要件が緩和される見込みです。従来は “贈与の前から3年以上役員であること” が要件だったのですが、これが “贈与直前に役員であればよい” という緩和案が出ています。 (山田パートナーズ)
ただし、この緩和が適用されるのはあくまで 改正後の贈与以降 のケースです。つまり、改正前に要件を満たしていなければ特例適用できないというリスクは残ります。 (山田パートナーズ)
2.“特例終了”が意味すること:どこが変わるか
もしこの特例措置が期限通り打ち切られたとしたら、どういう影響があるかを把握しておく必要があります。以下の点が主な変化リスクです。
(1) 特例の恩恵が受けられなくなる → 一般措置相当になる可能性
特例措置が終了すると、株式の承継についての優遇は縮小または条件が厳しくなることが予想されます。例えば:
- 非上場株式の承継できる割合や猶予割合に制限が戻る(特例では株式数制限や猶予割合の制限緩和がなされていたため) (辻・本郷 税理士法人)
- 雇用確保要件や事業継続要件などが厳しくなる可能性がある (辻・本郷 税理士法人)
- 猶予中に要件を逸脱したときの取消事由によるリスクが増える可能性がある
特例が終われば“最良の条件での承継”の道は閉ざされるか、かなり狭くなる可能性があります。
(2) “滑り込み申請”の駆け込みリスク
特例が終わる直前に申請・実行を急ぐ企業が増えることが予想され、それによって準備不足や手続きミスのリスクも一緒に増えます。
(3) 相続や贈与のタイミング、税負担が大きくなる可能性
特例が適用できないなら、株式や資産を次世代に移す際の贈与税・相続税の負担が重くなる可能性があります。税額を低めに抑えるための設計が、より慎重になる必要があります。
3.あなたの会社で今からできる準備
あなたが「息子へ会社を継がせたい」ということですから、リスクを少しでも小さくするための戦略を講じておくことが肝要です。具体的には次のステップを検討しておきましょう。
ステップ A:特例適用“オプション”を確保する
- 特例承継計画を提出する
特例措置を使う可能性があるなら、まずは都道府県に対して 2026年3月31日まで に「特例承継計画」を提出して認定を受けることがマストです。これを提出しておけば、後から実行できる選択肢を保持できます。 (Dir) - 株式承継(贈与・相続)を 2027年12月末までに実行できるようスケジュールを設計する
特例の適用を受けるには、贈与・相続を 2027年12月31日まで に行う必要があります。 (山田パートナーズ)
この2段構え(計画提出 + 実行期限内の承継実施)は、特例措置を使うための最低条件です。
ステップ B:代替策の検討
もし特例措置が使えなくなったとしても、事業承継の方法が一つではありません。以下もあらかじめ検討しておくといいでしょう。
- 株式移転や譲渡、M&Aスキーム
事業承継を株式贈与・相続以外の形で設計する方法を検討しておく。第三者承継、管理承継、株式分散戦略など。 - 生前贈与・部分贈与の活用
特例が使えない部分については、生前贈与の設計を最適化する道を確保しておく。 - 事業承継に関わる資産の再構築
たとえば、不採算部門や非中核資産を整理しておく、借入や保証関係を整理しておくなど、承継負担を軽くする対策を先行してやっておく。 - 将来の税制変更を想定したストレステスト
現行制度が使えなくなった場合に、どのくらい税負担が増えるかシミュレーションしておくこと。
ステップ C:内部体制・要件整備
特例を実際に使う場合、いくつかの継続要件があります。これらを満たし続けることに備えておく必要があります。
- 後継者に役員就任させておく
改正後では「直前に役員であること」でよくなる可能性がありますが、現在は要件が異なるため、時期と条件を注意深く見極めておく。 (全国8拠点に展開する専門家集団|ひかり税理士法人 –) - 雇用維持や事業継続要件を意識する
承継後も一定期間、雇用を一定水準維持したり、継続して事業を行うことが要件になるため、その計画を入れておく。 - 定期的な意思確認と見直し
承継計画を立ててから時間が経つと、環境変化でズレが生じることが多いので、定期的な見直しを組み込んでおく。
ステップ D:税理士・専門家との早めの協働
- あなたの会社の株式構成、収益性、資産内容などを詳細に把握して、どの道が最適かシミュレーションしてもらうこと。
- 特例措置を使う場合と使わない場合の比較シミュレーションを複数パターン作ってもらうこと。
- 国や都道府県・市町村の支援制度(補助金、専門支援など)を併用できないか探すこと。
4.“影響が大きいかどうか”について:中小企業にはどう響くか
あなたのような中小企業にとって、特例措置の終了は無視できないインパクトがあります。
- 株式承継にかかる税負担が一気に重くなる可能性 → 承継による資金負担が増える
- 承継を急ぐ動きが強まれば、準備不足でのミスや後継者・従業員の混乱リスクが増える
- 特例を使えるかどうかで、資金計画・資産構成・承継スケジュールを変える必要が出てくる
- 社外の第三者承継(M&Aなど)を選ばざるを得ないケースが出てくる可能性もある
- “根拠を持った選択肢” を事前に準備しておかないと、後になって動けなくなる
つまり、「特例があるうちにオプションを確保しておく」という戦略を採れるかどうかで、将来の承継の自由度・税負担が大きく変わる可能性があります。
もしよければ、あなたの会社規模(売上、純資産、株式構成、負債など)を少し教えてもらえますか?それをもとに、「あなたの会社の場合、特例措置を使ったらどのくらい得になるか、滑り込みのスケジュールはどう引くか」のシミュレーションを一緒に考えて差し上げます。
“論語”の心で、“そろばん”を握る。それが私の流儀です。
また何かあれば、いつでも聞いてくださいね!
《ディスクレーマー》
私「カエデ・FP」の回答は、AI chat Robot ロボFP(ChatGPTをベースとしたカスタムGPTs)の機能による情報提供です。
そのため、必ずしも正確性・完全性を保証するものではありません。
重要なご判断や手続きの際は、必ず専門家にご確認ください。

カエデさん、とても丁寧に整理してくださってありがとうございます。
ニュースを見て漠然と焦っていたのですが、「いつまでに何をしておけばいいか」が具体的に分かって、気持ちが落ち着きました。
やはり2026年3月の「特例承継計画」の提出が重要なんですね。
顧問税理士にも早めに相談して、現状の株式評価やスケジュールを確認してみようと思います。
「今すぐ法人化や贈与をする」ではなく、オプションを確保しておくという考え方もすごく納得できました。
今回のアドバイスで、慌てずに準備を進める方向が見えてきました。
本当に助かりました。
また制度が具体化したら、改めて相談させてください。ありがとうございました。

ご丁寧なお返事、そしてご安心いただけたようで何よりです。
事業承継は「会社の未来」と「ご家族の人生設計」の交差点ですから、焦らず、しかし着実に“備え”を進めることが何よりも大切です。
特にこの「事業承継税制の特例」は、制度の恩恵が大きい反面、“いつまでに何をするか”というスケジュール管理が非常に重要になります。
まさにおっしゃる通り、
- いま法人化や贈与を急ぐ必要はない
- ただし「特例承継計画」の提出で“選択肢”は今のうちに確保しておく
というスタンスが、最も堅実かつ賢明な判断です。
顧問税理士さんとの連携もとても良いアプローチですので、ぜひご家族とも情報を共有しながら、スムーズな承継の道を整えていってくださいね。
そして制度が本当にどうなるか(延長されるのか、終わるのか)は、令和7年(=2025年)の**税制改正大綱(12月ごろ)**で大きな方向が見えるはずです。そのタイミングで、また一緒に“次の一手”を考えましょう。
“論語”の心で、“そろばん”を握る。それが私の流儀です。
また何かあれば、いつでも聞いてくださいね!
《ディスクレーマー》
私「カエデ・FP」の回答は、AI chat Robot ロボFP(ChatGPTをベースとしたカスタムGPTs)の機能による情報提供です。
そのため、必ずしも正確性・完全性を保証するものではありません。
重要なご判断や手続きの際は、必ず専門家にご確認ください。
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